筆耕の語源とは?
筆耕とは、最近はあまり聞かなくなった言葉かもしれません。というのも、毛筆を使うことが殆どなくなったからです。逆に、そのニーズは高まっていると言えます。その意味とは、筆を用いて依頼された字を書くことで報酬を得ることです。
しかし、その漢字表記が筆を耕すと書かれているので、およそ、その意味に正確に辿り着けるものではありません。従って、その語源を是非とも知りたくなります。
筆耕という言葉自体は、既に江戸時代には存在していました。筆耕硯田の略で、農夫が田の世話をするように、筆という鍬を用いて硯という田を耕すことです。つまり、文筆を生業としている様です。それ以前は、筆功や筆工という漢字が当てられていましたが、次第に筆耕が主に用いられるようになったという説もあります。
また、似たようなものとして、心織筆耕という言葉があります。心の中で機を織りなし、筆を用いて耕すということで、文筆業を指します。実のところ、心織筆耕は故事成語で、晩唐の馮贄の編纂と伝えられる『雲仙雑記』巻9が出典です。
初唐の詩人であった王勃(650年から676年)が、文を頼まれたお礼に、金帛、すなわち、金と絹をもらったという故事に基づいています。
文筆で生計を為すことは一種の憧れであり、筆耕という洒落た表現となっているのです。